目次
クラスタープレイスメントグループの特徴
- シングルAZでEC2を論理的にクラスタとしてグループ化する
- 低いネットワークレイテンシー、高いネットワークスループットを実現する
- EC2間の通信を高速化するために利用する
- ハイパフォーマンス・コンピューティング (HPC)アプリで利用される
クラスタープレイスメントグループとは?
クラスタープレイスメントグループ(Cluster Placement Group、略称:CPG)は、Amazon Web Services (AWS) のEC2サービス内で使用される高度なインスタンス配置戦略です。クラスタープレイスメントグループを使用すると、高ネットワークフロー、低遅延ネットワークの要件を持つアプリケーションのパフォーマンスを最適化することができます。
以下に、クラスタープレイスメントグループの主な特徴と利点を示します:
- 密接な配置: クラスタープレイスメントグループ内のすべてのインスタンスは、単一のアベイラビリティゾーン(AZ)内の論理的に隣接したホストに配置されます。
- 高速ネットワーク: クラスタープレイスメントグループ内のインスタンスは、最大10 Gbpsのネットワーク帯域をEC2インスタンス間で利用できます。この性能は、ハイパフォーマンスコンピューティング(HPC)アプリケーションやビッグデータワークロードなど、高速ネットワークが必要なアプリケーションにとって非常に役立ちます。
- 低遅延ネットワーク: クラスタープレイスメントグループ内のインスタンス間のネットワーク遅延は非常に低く、これもHPCアプリケーションに有利です。
ただし、以下のような制約や考慮事項があります:
- クラスタープレイスメントグループ内のインスタンスは、同じアベイラビリティゾーン内に配置されるため、AZ全体に障害が発生した場合に影響を受ける可能性があります。
- 使用可能なホストの数量に制約があるため、大量のインスタンスを突然起動しようとすると、リソースの制約によって一部のインスタンスの起動が失敗する可能性があります。
注意: AWSは、クラスタープレイスメントグループのほかにも、分散、パーティション、スプレッドという異なるプレイスメント戦略を提供しています。これらはそれぞれ、異なる種類のワークロードや要件に応じた配置戦略です。
どのように構築するのか?
クラスタープレイスメントグループ (Cluster Placement Group: CPG) をAWSで構築するための基本的な手順を以下に示します。AWS Management Console、AWS CLI、AWS SDKを使用してCPGを作成し、インスタンスをその中に配置することができます。ここでは、AWS Management ConsoleとAWS CLIを使用した手順を示します。
AWS Management Consoleを使用した手順:
- AWS Management Consoleにサインインして、EC2ダッシュボードに移動します。
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左側のナビゲーションペインで、「プレイスメントグループ」を選択します。
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「プレイスメントグループの作成」ボタンをクリックします。
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名前を指定し、戦略として「クラスター」を選択します。
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「プレイスメントグループの作成」ボタンをクリックして、CPGを作成します。
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作成したCPG内で新しいインスタンスを起動する際、インスタンスの設定画面で「プレイスメントグループ」のセクションを選択し、作成したCPGの名前を指定します。
AWS CLIを使用した手順:
- プレイスメントグループを作成:
aws ec2 create-placement-group --group-name your-placement-group-name --strategy cluster
- EC2インスタンスを起動する際、プレイスメントグループを指定:
aws ec2 run-instances --image-id ami-your-ami-id --instance-type your-instance-type --placement GroupName=your-placement-group-name --count 1
これにより、指定したプレイスメントグループ内に新しいEC2インスタンスが起動されます。
注意:
- クラスタープレイスメントグループ内でインスタンスを起動する際は、同じアベイラビリティゾーン内での起動を確実に行う必要があります。
- すでに実行中のインスタンスをプレイスメントグループに追加することはできません。新しいインスタンスを起動する際にプレイスメントグループを指定する必要があります。
最終的に、実際のワークロードや要件に応じて、適切なインスタンスタイプ、ネットワーク設定、ストレージオプションなどを選択する必要があります。
プレイスメントグループを作成したら、EC2は何台構築されるのですか?
プレイスメントグループ自体は、インスタンスをどのように物理的に配置するかを制御するための戦略を定義するものであり、それだけではEC2インスタンスは自動的には作成されません。したがって、プレイスメントグループを作成しただけでは、EC2インスタンスは0台のままです。
EC2インスタンスを作成するには、インスタンスの起動時にそのプレイスメントグループを指定してインスタンスを起動する必要があります。起動するインスタンスの数は、ユーザーが指定するものです。
例えば、特定のクラスタープレイスメントグループで5台のEC2インスタンスを起動したい場合、インスタンスの起動プロセス中にそのプレイスメントグループを指定し、5台分のインスタンスをリクエストすることで、指定されたプレイスメントグループ内で5台のインスタンスが起動されます。
プレイスメントグループを1個、インスタンスを3つ作成してグループに追加します。 その後はどのように構築すればいいですか?
プレイスメントグループ内でEC2インスタンスを起動する手順について説明します。これは、特定のプレイスメント戦略に基づいてインスタンスの配置を最適化したい場合に行います。
以下の手順で進めます:
- プレイスメントグループの作成:
- AWS Management Console, AWS CLI, または SDKを使用して、新しいプレイスメントグループを作成します。
- 例(AWS CLIを使用した場合):
aws ec2 create-placement-group --group-name my-placement-group --strategy cluster
- EC2インスタンスの起動とプレイスメントグループへの追加:
- EC2インスタンスを起動する際に、作成したプレイスメントグループを指定します。
- 例(AWS CLIを使用した場合):
aws ec2 run-instances --image-id ami-xxxxxxxx --instance-type t2.micro --count 3 --placement GroupName=my-placement-group
- インスタンスの設定:
- 必要に応じて、起動したインスタンスにアクセスし、ソフトウェアのインストールや設定変更を行います。
- SSH(Linux)またはRDP(Windows)を使用して、インスタンスに直接ログイン可能です。
- セキュリティグループの設定:
- 必要に応じて、インスタンスに関連付けられたセキュリティグループのルールを編集して、所望のネットワークトラフィックを許可または拒否します。
- 追加のリソースの接続:
- 必要に応じて、EBSボリューム、Elastic IP、またはロードバランサーなどの追加のAWSリソースをインスタンスに接続します。
- アプリケーションのデプロイ:
- 必要に応じて、インスタンスにアプリケーションやデータベースをデプロイします。
- モニタリングと最適化:
- CloudWatchを使用して、インスタンスのパフォーマンスやリソース利用率を監視します。
- 必要に応じて、インスタンスのタイプや設定を変更して最適化します。
この手順は基本的なものであり、実際のユースケースや要件によっては、追加の設定やステップが必要となる場合があります。
VPC1つの中にEc2が3つあるのと、プレイスメントグループにEc2が3つあるのとで何が違いますか?
VPC内のEC2インスタンスと、プレイスメントグループ内のEC2インスタンスの違いは、主にインスタンスの物理的な配置およびその配置によるパフォーマンスや信頼性への影響にあります。以下、それぞれのシナリオの特徴を詳しく説明します:
- VPC内のEC2インスタンス:
- VPC(Virtual Private Cloud)はAWS内で定義的なネットワーク環境を作成するためのもので、その中にはサブネット、セキュリティグループ、ネットワークACLなどのネットワーク関連のリソースが含まれます。
- VPC内でEC2インスタンスを起動する際、特定のプレイスメント戦略を指定しない場合、AWSは物理的なホストやハードウェアの位置に関して特に制約を持たずにインスタンスを配置します。
- プレイスメントグループ内のEC2インスタンス:
- プレイスメントグループは、特定のプレイスメント戦略に基づいてEC2インスタンスの物理的な配置を最適化するためのものです。
- 3つの主要なプレイスメント戦略があります:
1. クラスター: 同じアベイラビリティゾーンの中でインスタンスを密に配置します。これにより、ネットワーク性能が向上し、低いレイテンシと高いスループットが実現されます。
2. パーティション: 複数のパーティションにインスタンスを分散し、各パーティションが独立したハードウェアセット上に配置されるようにします。これにより、ハードウェアの障害が特定のパーティションのみに影響することを保証します。
3. スプレッド: インスタンスをアベイラビリティゾーン内の異なるハードウェアに配置します。少数の重要なインスタンスに対して障害の影響を分散させる場合に適しています。
要するに、VPC内のEC2インスタンスとプレイスメントグループ内のEC2インスタンスの主な違いは、プレイスメントグループが特定の物理的配置戦略を持っているのに対し、VPCだけではそのような配置戦略は持っていないことです。プレイスメントグループを使用することで、特定のアプリケーションの要件に応じて、インスタンスの配置とパフォーマンスを最適化することができます。