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RESTful APIにおけるステートレスとステートフルの違いとは?
RESTful APIにおけるステートレス(Stateless)とステートフル(Stateful)の違いは、基本的にはサーバがクライアントの状態(State)を保持するかどうかにあります。
ステートレス(Stateless)
- **サーバがクライアントの状態を保持しない**: すべてのリクエストはそれ自体で完結している必要があります。つまり、以前のリクエストや次のリクエストと関連しないように設計されています。
- **スケーラビリティ**: ステートレスな設計はスケーラビリティが高いです。状態を保持しないため、ロードバランサーを通じて任意のサーバにリクエストをルーティングすることが容易です。
- **認証**: 通常、HTTPヘッダー内のトークンやAPIキーによって認証が行われます。
- **例**: RESTful APIは通常、ステートレスな設計を採用しています。
ステートフル(Stateful)
- **サーバがクライアントの状態を保持する**: クライアントが行った操作やその結果、セッション情報などがサーバーに保存される場合があります。
- **スケーラビリティ**: ステートフルな設計はスケーラビリティが低い傾向があります。状態を保存するため、クライアントが次にどのサーバと通信するかが重要になる場合があります。
- **認証**: セッションIDを用いてクライアントを識別することが多いです。
- **例**: Webアプリケーションのログインセッションは、多くの場合ステートフルです。
注
- RESTful APIは原則としてステートレスな設計が推奨されますが、それが絶対でない場合もあります。一部の状態をサーバー側で管理する必要が出てくる場合もありますが、その場合はステートレスな原則から逸脱していると言えます。
それぞれの設計には利点と欠点があり、用途や要件に応じて選ばれます。しかし、RESTful APIの設計原則では、ステートレスな設計が推奨されています。
ステートレスとステートフルのユースケース
ステートレス(Stateless)とステートフル(Stateful)の設計は、それぞれ特定のケースにより適しています。以下は、それぞれを採用する一般的なケースと考慮点です。
ステートレス(Stateless)を使う場合
1. **スケーラビリティ**: システムが多くのユーザーやリクエストを扱う必要がある場合、ステートレス設計が有用です。ステートがサーバに保存されないため、リクエストは任意のサーバにルーティングできます。
2. **独立性**: 各リクエストが独立しているため、他のリクエストに影響を受けません。これは、障害耐性にも寄与します。
3. **シンプルなクライアント-サーバーのインタラクション**: APIコールが独立しているため、クライアントとサーバのやり取りがシンプルになります。
4. **一時的なインタラクション**: 短期的または一度限りのトランザクション(例:ウェブサービス、マイクロサービス)に適しています。
ステートフル(Stateful)を使う場合
1. **コンテキストの維持**: 一連のインタラクションで状態を維持する必要がある場合、ステートフル設計が便利です。例えば、ウィザード形式のユーザーインターフェース、ゲーム、リアルタイムアプリケーションなど。
2. **パフォーマンス**: ステート情報がサーバーに保存されているため、新しいリクエストでその情報を再取得する必要がなく、レスポンスが速くなる場合があります。
3. **セキュリティ**: セッションに基づいているため、一定レベルのセキュリティ(例:ログイン後のセッション保持)を維持することが容易です。
4. **複雑なビジネスロジック**: 複数のステップまたはトランザクションを含むような複雑なビジネスプロセスに適しています。
### 結論
それぞれの設計には利点と欠点がありますが、多くの場合、これらは排他的ではありません。例えば、主にステートレスな設計を採用しているAPIでも、特定のエンドポイントや機能でステートフルな操作をサポートすることはあります。
そのため、具体的な要件やユースケースに応じて、ステートフルとステートレスの要素を適切に組み合わせることが重要です。